5/9にビッグサイトで開催された、各種IT関連のソフトやら機器の展示会。Japan IT Week 2013に行ってきましたのでレポートします。この展示会はここ3年連続で行ってます。
今年は講演を最初に見て午後から西棟、東棟と見ました。
講演の題目は「日欧の半導体メーカートップが語る、組込みの未来」スピーカーと各題目は以下です
| ルネサス エレクトロニクスの組込み市場への取組み | ルネサス エレクトロニクス(株) 大村 隆司 |
| 選ばれるARMソリューションとそれを支えるエコシステム -マイコンからサーバーまで- | ARM社 グラハム バッド |
ルネサス エレクトロニクスはNEC、三菱、日立の半導体部門が合併してできた会社。今回ARM社長の前座をしているのは古くからARMアーキテクチャを使ってい
たからということのよう。
まずは東日本大震災で大変だった話。工場の天井が落ち大被害を被った。工場の生産を再開し部品を供給できるようになるまで半年かかった。生産を再開できても半導体部品が供給できる状態になるまで3ヶ月はかかるがお客さんは納得してくれず大変な思いをした。しかし、その間に代替工場などを整備し一ヶ所が被害を受けても他でバックアップできる仕組みを構築するよい契機となった。耐震性もアップしたと。
このルネサスの工場は何をつくっていたかと言えば自動車のLSI。つまり自動車業界から怒られて大変だったということのようです。そういえば当時ニュースで騒いでいたね。天井が落ちるほどの大被害が出た工場はどこかと思って調べたら、茨城のひたちなかだった。ここは震度6弱。茨城の震災死は22人でしかなかったことからもたいした揺れでなかったことがわかる。たまたま高い場所にいた人とか海っぺりにいた人とかタンスの下敷きなど。この程度で工場が崩壊とは耐震性低すぎということで言い訳できないのでは。
震源はマグニチュード9.0で1000年に一回!とか騒いでいるが、多くの場所は日本なら数年に一回起きるレベルの地震でしかありません。原発含め自分たちの不備をマグニチュード9.0でごまかそうとするケースが実に多い。そういう企業は信用ならないな。
自動車のLSIとは何に使われているかと言えば、エンジン、ブレーキ、パワステ、エアコン、エアバッグなどの制御系とカーナビなどの情報系ということになるようだ。自動車というのはほんの30年前ぐらいまでは一個もLSIを使ってないアナログ機器だったそう。しかし、30年前の自動車が今に比べてはるかに劣っていたかというとそんなこともないように思う。燃費だって乗り心地だってたいして変わらない。部品が増えて複雑化するばかりで結局は自動車業界の自己満足に近いんじゃね?
今自動車業界がすすめようとしている更なる自動車のLSI化は認識系にある。つまり、危険を察知して止まるとかアラート出すとか自動運転とかそういう技術。ますます車が家電化、ブラックボックス化し、人間は車に運ばれるだけの存在に近づいていく。これでは所有して運転する意味なくない?自動車業界は余計なことして自分の首しめてるのでは?
大村さんの講演自体は言っては悪いが興味をひくこと特になかった。たいへんでした!がんばります!と言ってるだけで社内プレゼンを見てるかのよう。この後のARM社長のプレゼンとは実に対照的な内向きなガラパゴス。日本の製造業がダメになっていく理由がよくわかった。
○選ばれるARMソリューションとそれを支えるエコシステム -マイコンからサーバーまで- ARM社 グラハム バッド
ARMのCOOつまり社長の講演です(うつり悪いが右画像がグラハム バッド氏)。今回の目的はもちろんこちらを聞くことです。
ARMについて少し解説しておきましょうか。ARMは英国の半導体メーカー。しかし、自社で半導体は生産しておらずその設計をしてライセンス供与するという方式をとっています。この方式は携帯電話やタブレットで大成功し今やこれらのほとんどがARMアーキテクチャのCPUとなっています。私もこのあたり今まで漠然としか把握していなかったのですが今回の講演聞いて調べてクリアになりました。intelなど今までのCPUメーカーは自分たちで設計製造し完成品を売っていましたがこれとは異なるビジネスモデルなのです。このやり方をARMは「エコシステムであり、他社とのパートナーシップである。」と言っています。「ARMの成功は一社ではなし得ないものだった、1000社を越える他社とのパートナーシップそしてこのエコシステムを今後も守っていく」とのことだった。
また、今までのCPUメーカーと異なり、まず第一に低消費電力であることを念頭に置いた設計をしています。バッド社長は「低消費電力はARMのDNAだ」とまで言っていました。intel系のCPUを積んだPCと大きく違うのは正にここです。PC比でタブレットの消費電力は1/6とのこと。最初のipadが登場したときそのバッテリの持ちに驚きました。windowsのタブレットPCというのもそれまでも存在していましたが、大きく重いわりにバッテリは持たずパフォーマンスも悪く使い物にならないものだった。ipadやAndroidタブレットが世に出たのはARMコアがあったからこそなのです。intelもこの状況に驚き巻き返しを図っていますが、今まで好き放題に電気を使って熱ければファンで冷やせばいいというポリシーをそう簡単に軌道修正できません。逆にMicrosoftの方が変わり身早く、ARMコアで動くWindowsRTをリリースしているというのが最近の状況。
ARMはなぜ低消費電力にフォーカスをあてて開発していたのか。地球の人口は増えつづけています。電子デバイスを使う人もどんどん増えていきます。地球上のエネルギー資源は限りがあります。持続可能な社会にするためには必然的に一人一人の消費エネルギーを減らさねばならない。その解が低消費電力機器であり、電子制御による低消費エネルギーだと言うのです。ARMは自社の事業方針を地球的な視点から見ているのです。速く!強く!お金!自分さえ良ければ!のようなintel的なアメリカ・イスラエル的な指向とは真逆の会社なのです。
今後のARMはサーバ市場も見据えているとのことでした。今まで32bitしかなかったが64bitのARMも近くリリースするそうです。またARM上で動くlinuxディストリビュートのLinaroの開発も支援してるとのことだった。今後が実に楽しみです。
intel独占のおかげでCPU業界はここ数年は進化が止まっていました。相変わらずファンで冷やしてでかいヒートシンクを装着する。サーバ室はクーラーをガンガンにかけないとマシンが壊れてしまう。intelのお陰で世界はかなり無駄なエネルギーを消費してきたのです。私もサーバやサイネージ端末管理していていつもハード関連で気になるのは熱とファンのことです。PCのトラブルはファンが原因のことがままあります。回転体なので耐久性が低いし、ホコリに弱い。ファンはマシンにつきものになっていますが、これはintelの怠慢の結果でもあるのです。
CPU業界は草創期からずっとintel独占の暗黒帝国でした。最悪企業でも強すぎるので彼らに従うしかなかった。そこに風下から現れたARM。既に制空権(モバイル)は制したので残るは地上(PC)と本丸(サーバー)だ。ちなみに私はintelのCPUを長いことボイコットしています。私の個人マシンとして購入したPCに限るとintelは2001年のpentium3 700MHzが最後です(実験目的でAtomベアボーン購入したのは除く)。長いレジスタンス活動もようやく終わるのか!?
ルネサスに配慮してのことでしょうが車のLSIについての話もありました。自動車とLSIの関係に関してはルネサス大村さんのところに書いた通りですが、彼らにとって究極の車とはオートパイロットカーなのです。googleもこれやろうとしてますね。世界中で年間120万人が交通事故で亡くなるそうです。自動車がオートパイロット化すればきっとこの数は減るでしょう。しかし、そういう時代に車は趣味の産物ではなく、家電になりフェラーリみたいなオモチャは存在する場がなくなるでしょう。私はそれでいっこうに構いません。暴走する大人のオモチャにひかれてはかなわん。しかし、自動車業界はオートパイロットという機能をつければ車が売れると錯覚しているように見える。
今回ARM社長の話が聞けたのは大きな収穫でした。話は理路整然としていておもしろくビジョンもしっかりしている。しかもそのビジョンが素晴らしい。今後もCPUはARM系を選ぼう。日本にもこんな経営者が欲しい!
○Japan IT Week 2013 西棟
では続けて展示会のレポート。まずは組込機器展などの西棟から。私が最近興味持ってみているのがarm搭載ボードですが、VIAの展示ブースには既に製品化されたり近日発売というARMのボードやSTBが並んでいました。他のブースにも参考出品レベルではけっこう並んでいましたが製品化できているところはあまりなかった。その割にviaブースはお客が少なかったのが意外でした。名前がまだまだ売れてないということかな?via cpuのx86系のボードとSTBも各種揃っていました。ラインナップ見てるとサイネージ向けに力を入れている感じでした。KIMOTOという会社のcuravisionというサイネージシステムを使ってサイネージを放映していました。これはカタログによると同社で実際に運用している自社向けにつくったサイネージのようです(同社ホームページには載ってない)。システム的には普通のサーバ、クライアント型のサイネージ。これも売ってくれるとviaの人は言ってましたが、特段これを選ぶ理由もない。
armボードの先駆、アットマークテクノは相変わらず派手なブースで賑わってる感じでしたが、特に目新しい感じのものは無かったのでスルー。今回連絡無かったですが、グリーンハウスから転職した大野さんはいなかったみたいだ。グリーンハウスもいなかった。
Rockchipというロゴの看板を見かけたので行ってみたところ、三信電気という電子部品の商社だった。RockchipはARMアーキテクチャCPUの中でもメジャー系にあたるチップの中国メーカーでnividiaやQualcommより安いがその性能には定評があります。ARMボードが展示してあったのですが、ここはけっこうな人だかりでよく見えなかった。
今回声をかけられていた日本シャトルにも立ち寄る。サイネージ用のDS61の後継にあたるDS47を近く発売するという話でおすすめされた。celeron847(1.1Ghz*2)という新型のオンボードCPUを搭載したモデルでファンレス。celeron847はATOMとcore-i3の間ぐらいの性能とのこと。
このceleron847というCPUは調べてみるとATOMの後継的な感じで採用されているので、今後出回るのかも。
SSDなんてもう枯れた技術で業界的にも勢力図固まってるのかなと思っていたのですが、SSDだけを展示している会社がけっこうあった。そしてかなり熱心に客を勧誘している。memorightは台湾のメーカー。ブースの前を通りかかっただけなのにカタログ用のでかい袋を渡されてたどたどしい日本語で説明してくれた。swissbitはドイツメーカーで高信頼性の産業用SSDを売ってるそうだ。調べたところシーメンスのメモリ部門が独立してできたヨーロッパ最大のメモリーメーカーなんだそう。ブースからしてお高そうな感じではあった。
Microsoftやintelのブースはけっこうな人だかりがあったのだが、Windows8マシンが並んでるだけのように見えたので混んでるし入らなかった。今更windows8に興味なし。そういえば去年はあちこちにあったKinectはほとんど見なかった。早くもブームは終わったか!?
AR技術を使って現実世界のモニターや機器を操作するフリックライブというのをIT Accessが展示していた。説明ではわかりづらいのでこちらの記事を参照してみてください。miracastなどこんなような技術は今後普通に使われるようになっていくだろう。
○Japan IT Week 2013 東棟
続いて東棟に移動。例年通りこちらの方が混んでいる。まずはこちらも誘われていたWicatchのシアーズへ向かう。wicatchについては昨年書いたので省略するが、今年はWicatchではなくWiTVを展示していた。これも基本はWicatchと同じだがwifiではなく音響通信でスマホにクーポンが飛び込む方式。これなら従来のPOP端末で対応可能で、wifiルータのような特別な機器も必要ないのでお店側の導入障壁が低い。今後はこっちをメインで売るつもりのよう。
流行りなんでしょうが”クラウド”が目立った。Amazonも大きなブースをかまえてクラウドの宣伝をしていた。Amazonを展示会で見たのはじめてのような気がする。と言ってもAmazonブースで宣伝していたのはAmazonクラウドを利用したパートナー会社でしたが。プロバイダのniftyもでかいブースを構えてクラウドの宣伝をしていた。しかし、相変わらずクラウドと言った場合の範囲が実にあいまい。ネットストレージ、ネットワークのクラウド化から、仮想サーバから全部ひっくるめてクラウドと言ってる。正に雲をつかむようだ。
”オープンソースやきそば(右画像がそれ)です!”というのが耳に入ったのでなんだろうと思い”何のオープンソースですか?”と配ってる人に聞いたら”ダジャレですよオープンソースの!”としか兄さんは答えてくれなかった。配ってる人は意味がわからないで配ってるようだったのでそれ以上追求しなかったが、ここで宣伝していたOpenStandiaは何だろかと思って今調べたところ、野村総研がやってるサービスでopen sourceのソリューション使ってシステム構築しまっせ!もちろん有料でという話でしかなかった..。
人は相変わらずいっぱいいたが、ARMボード以外は今一つ目につくもの無かったなというのが今回の印象。昨年は目立ったタブレットやスマートフォンはあまり展示が無かった、というか例年でかいブース構えている家電メーカーが今年はいなかった。日本の家電メーカーはいよいよ売るものなくなっちゃったか!?
1年前のレポート見ると最後に”1年後は誰が総理で原発はどうなってるのか!?”なんて書いてあったけど、自民党安部総理になるとは...時代が戻ってしまった...。原発の方は相変わらずだけど、もんじゅの停止命令とか敦賀原発の活断層とか、ようやく仕方なく!?脱原発方向に進みつつはあるのか。さてさて1年後はどうなってるか...。
15 MAY 2013